滲出性中耳炎とは、中耳腔に、非化膿性の貯留液(細菌を認めない滲出液)が認められること。
滲出性中耳炎について
原因
耳は外耳、中耳、内耳と分類されており、中耳は鼓膜の振動(音)を内耳に伝える骨が入っている空洞の部分です。中耳腔は、耳管という管で、鼻の一番奥(上咽頭側壁)にある耳管咽頭口とつながっています。これは、外の気圧と、中(中耳)の気圧を調整するためのもので、従って耳管の機能不全を起こすすべての疾患、病態が、滲出性中耳炎の原因となり得ます。
例えば・・・
- アデノイド、上咽頭腫瘍などの器質的なものにより、耳管咽頭口を圧迫、偏位するためによるもの
- 急性中耳炎の不完全治癒による中耳粘膜の慢性感染によるもの
- 急性鼻炎、副鼻腔炎(蓄膿症)の炎症が、耳管に波及し、耳管機能不全になるもの
- 気圧の急激な変化(鼻すすりも加わります)によるもの
- 口蓋裂の患者さんなどにおこる耳管開大筋の障害によるもの
好発年齢と症状
約90%は、8歳以下の小児期(アデノイドによるものや、耳管が短く、角度がついていないため鼻腔内の炎症が波及しやすく、急性中耳炎になりやすいため)に発症をみます。残り10%は、老年期に発症することが多いです。
症状としては
- 難聴、耳閉塞感、自声強聴などがみられます。
- 一般に難聴は軽度で、小児では自覚しないことが多く、保護者の方が、TVの音が大きい、返事が遅いなどの症候に気づき、難聴を疑って受診することもあります。
- 繰り返す、急性中耳炎(発熱、耳痛、耳だれ)。
治療
治療は、原因疾患の治療と、鼻腔処置、耳管通気療法を行う治療があります。特に小児例では、難治性となりやすく、鼻汁のコントロールが最重要となります。難治例である場合は鼓膜切開、さらにそこから中耳腔に、チューブを挿入留置する治療もあります。(チューブ挿入により、耳管を介しての鼓室内の圧調節が不要となるため、中耳炎になりにくくなります。)経過と予後
小児では、3〜5歳に受診のピークがあり、10歳までに大部分が治癒します。遷延化すると慢性の中耳炎(癒着性中耳炎、真珠腫性中耳炎など)への移行する可能性があります。その場合、大きな手術が必要となります。